田中譲先生に「おもしろいことが出来る」と薦められ、卒業後日立ソフトに入社。「当時、日立ソフトではカーネルの開発が一段落し、これから何が出来るかを考えていく段階でした。だから先生に伺った通り、ちょうどおもしろい時だったんです。」
入社後、鈴木さんは「カムイミンタラ」や編集工学研究所のプロジェクト等で、主にアプリケーションの開発に携わって来ました。
鈴木さんのように、卒業後もIPに魅力を感じ、身を投じているケースは稀なのだそうです。IPという技術によって産学協同の密接な繋がりが出来ているだけに、意外な事実です。
そのような稀有な存在である鈴木さんに、大学と会社における研究開発の違いについて伺ってみました。「やることが具体的になった部分で大学とは違ったおもしろさがありますね。でも逆に、大学は色々な可能性を模索したり、自分で好きなことが出来るけれども、会社の場合はユーザが実際に使うものを作って普及させねばならないという点で難しいです。でも、ユーザといった具体的なイメージがあった方がアイデアは湧きやすいし、反応がダイレクトに返ってくるから遣り甲斐がありますね。」と新たなIPとの関わり方を楽しんでいるようです。
大学で学んだことを、実社会で活かすことの出来る人が少ない中、同じ夢を追い続けられる鈴木さんが、とても羨ましく思えました。
「ユーザがいる、反応が返ってくるということがアイデアを生み、可能性も広がるんですね」 |
次に、みなさんに、IPの今後について伺いました。
「真っ先に片付けたいのが、今年度試作で止まってしまったWEB連携のパッドですね。」と語る田中さん。IPは色々なものがあるけれども、それで包むコンテンツの不足が指摘され続けていました。
そこで、2つの解決法が現在開発段階にあるそうです。「一つは、世界中のコンテンツが溢れるWEBの世界をIP化して直接取り込む方法。もう一つは、サイトの中のデータベースと連携している部分等、特定の部分を、その機能と共に取り出す方法。後者のように、他のサイトから取り出したものを自由に組み合わせることが出来るようになったら、それはIPの究極の姿ですね。これを早く実現したいです。」
しかし、上記の方法はまだ著作権の問題を解決していないことや、技術だけでなく、社会的なルールや約束事でカバーしていかなければならない部分を多分にはらんでいるため、実現するにはまだまだ議論を要するのが現状なのだそうです。
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