IntelligentPadが出てきたころは満足に動かせるマシンが少なかったことを思うと、これからがIPの全盛期なのかなと思います……宮脇
町田:キヤノンでは1991年頃からIntelligentPadの研究がはじまっていたようですけど、私がIPを知ったのは宮脇さん同様、社内の担当者から声がかかったのがきっかけでした。その担当者の責任ということではありませんが、最初の印象はあまりよくなかった(笑)。担当者に分厚いIPのマニュアルをもらって目を通したのですが、非常に論理的なソフトだと感じた。次にIPコンソーシアムに出席したのですが、ここでもセキュリティとかコンテンツ保護の話題だったので、非常に技術的な印象を受けた。そういう見方が180°変えざるを得なかったのが、編集工学研究所の京都デジタルアーカイブ「The MIYAKO」を見た時です。こういうことができるソフトなんだ、と目から鱗が落ちた。活用のイメージを提示されたことで、IPの良いところが見えたわけです。さらにIPの本質に触れたのは、IPの技術的なことは知らない多摩美術大学の学生たちが、情報整理や情報編集のプロセスにIPが有効じゃないか、という直感でIPを使いこなす姿を見たときです。システムということを意識せずに情報整理をすんなりと行えるというのは、簡単そうで実は困難なこと。それがIPを使えば可能だというので、私は感嘆の声を上げるとともにIPの世界に少しずつはまっていきました
【京都デジタルアーカイブ】 1997年度のマルチメディアコンテンツ振興協会の採択事業で開発されたデジタルアーカイブ。 日本文化特有の情報編集技術がふんだんに盛りこまれ、 ユーザはコンテンツ同士の関係に注目しながら京都の街をブラウジングすることができる。