【機械音痴が生んだ「きりはり教室」】
 
 東京編の第一弾は、東京学芸大学の任都栗新先生です。先生は教育学・教育工学を専攻し、特に日本語教育の教員養成や教材開発、学校教育全般におけるマルチメディア利用がご専門です。その現場で、今ではなくてはならないツールとなっているIPを利用したアプリケーション「きりはり教室」。その誕生から進化までの秘話、逸話、実は・・・という楽しいお話を伺うことができました。




 任都栗先生が横浜国立大学で日本語教育を教えていた頃、日本国内における日本語教育を管轄していたのは文化庁。その一方で海外における日本語教育は外務省の管轄でした。しかしこのような住み分けでは不都合が出てくるようになり、文化庁も海外の日本語教育を支援するため、その支援の方法を検討する研究会がつくられました。 
 その研究会に参加することになった先生は、海外へ支援する方法としてインターネットやマルチメディアが注目される中、文化庁の知人からIPを紹介されたそうです。
 

「1997年だったかな、 文化庁の委員会で日本語教育のための
マルチメディア教材の研究開発がはじまったんだ。」

 
 
 



「IPはペタペタ重ねて貼っていけば色々なことが出来る、という仕組みがすごい!これなら本当に使えるマルチメディア教材ができる。」と先生。


IPの魅力にとりつかれた先生は、研究会のメンバーでもあった日立ソフトに通いつづけ徹底的に勉強されたそうです。
以前から、テキスト教材だけでなく、絵や写真、カード、音声、テープそしてビデオ等の視聴覚教材を使う語学の授業にはマルチメディアコンテンツが必要だと考えていた任都栗先生。しかしそれまでの技術には限界も感じていたそうです。先生の視点はあくまでも自分がやりたいこと、語学教育、マルチメディア教育の新しい試みがIPで実現するのだろうかという利用者の立場です。このお話をうかがって、先生が贔屓目なしにIPの可能性を評価されたんだなあと感じました。