教育問題に触れぐっと真剣な表情に。
語り口にも熱がこもってきます。


 最後に、先生がIPに期待、要求することを伺いました。「Windowsとの相性の問題の解決や、やりたいと思った時にそれが出来るような部品の開発が進むといい。ミーム・プールのような環境が出てくるためにも、もっと具体的なものを提案して、IPを世の中に浸透させる必要があると思う。」と先生。
 教育現場に「きりはり教室」提案しながらも、もどかしさを感じている先生は、次のように語られました。「「教育産業」という捉え方をすべきなんだよ。日本人は昔から既存の発明品を使い勝手良く改良することを得意としている。だから、田中譲先生が発明されたものの具体的な用途をユーザーに提案して、ユーザーのフィードバックでどんどん改良していく、という形があってるんだよ。そして輸出産業にして、第二のソニーやビル・ゲイツを作るべきなんだ。」

先生がこのようにおっしゃったのには、IPを教育の現場に導入、普及する上で生ずる様々な障害に対する不満からでした。たとえば国立大学である先生の大学が、公立小学校に「きりはり教室」のための機材を持ち込むことは、国立大学の財産を市町村の教育委員会に貸与することになり、国のものを市町村に貸与することは法律で禁止されているということになるのです。又、国立大学の研究費や教育委員会の予算では、教育用ソフトの開発や購入が難しいこと等の資金の問題等もあり、全てが手詰まりの状態となっているそうです。
様々な分野からの期待を受けるIPですが、実際普及するとなると、色々な問題に直面することを知りました。そして、任都栗先生のような教育現場の改善への熱意と、新たな技術への好奇心を持つ人々によって、IPという先進的な技術の開発・普及が支えられていることを実感しました。
 

これからは「教育産業」という考え方。 IPも、ITも、資金なしでは導入出来ない。

 
 
 
 





 「色々なことに、色々な気を張らなければならないけど、楽しいからいーや、と思っているんだよ」と明るく語る先生。最後に、「教育者の立場として、今後も「きりはり教室」を普及させ、そこでどういったことが出来るが見極めたいと思っている。だから、継続していくんだ。」という言葉を残されました。
 そんな先生の取り組みが評価され、「きりはり教室」は来年度から武蔵野市のいくつもの小学校で導入されることが決まり、期待を集めています。このように、少しずつではあるけれど進んでいくこと、つまり、継続していくことがIP普及への近道なのかもしれません。