「女は文句ばかり言うんですよ。」
といいつつなんだか楽しそう



それでは、実際に大学の学生達に語学教育の教材をIPで作らせてみよう、と試みた任都栗先生。学生達の第一声は「何これー。分かんなーい。」でした。
「女子学生は、男子のように黙って「仕方ない、我慢してやろう」 って、なかなかならないんですよ。でしょ?」 と私の顔を見ながら話す先生。先生が横浜国立大学で担当されていた日本語教育を履修していた学生の殆どは女子だったそうです(ご苦労さまです)。それが、幸か不幸か、彼女達のわがままを日立ソフトへと届ける、先生のメッセンジャーとしての生活が始まるわけです。
 

えーっと、えっと・・・女性の方が我慢弱い、
ということではなくて、女性の脳の方が細かなことに気付き、
合理的ということではないでしょうか???

 
同じ操作で扱えれば、文字や画像、音声など、素材の違いを意識せずに自由に組み立てられるからね
 

彼女たちは、IPでファイル名を入力して、画像を出すパッドを持ってきて、そこにテキストバッドを貼りつけて、スロット結合させて・・・といった過程を経て初めて画像が出てくるというしくみにうんざり。「それだったら、始めから画像が出てくる部品をつくってよ。」とさっそくワガママ。日立ソフトに部品を作ってもらって「これだったら使えるでしょ。」とヤレヤレの先生。すると、「ここまで出来るんなら、始めからサムイネルみたいなものを作っておいて、パッと画像が拡大するように出来ないの。」とまた彼女達。
このようなことの繰返し、必要な機能を部品化し、それらが集まってツールとなり、またそれらが集まって一つの教材となり、「きりはり教室」の原型が作られていったのだそうです。

 「僕がメッセンジャーとして、彼女達の要望を整理しながら入れていったら、意外と使いやすかったんだよ。IPは色々なことが自由に出来るんだけど、マルチメディアで何かを作ろうとした時はある程度操作を限定してしまうことが大事だと思う。例えば、ドラッグ&ドロップで全てが出来るというふうに。」と先生。
操作を限定することで、かえって大きさや位置を自在に変え、何枚でも貼り合わせて機能を増やすことが出来るというIPの自由な特徴が活きてくると実感した先生。しかも操作が簡単だと誰もが使えるオーサリングツールになる。次に目をつけたのは子供達でした。




 任都栗先生は子供の方がIPをより感覚的に、自由に使いこなすのではないかと考え、附属学校の先生に相談したそうです。ちょうどその時、小学校3年生が「町探検」という学習をしていました。地図を描いた原稿用紙の上に、町で発見したことを写真や文字で貼りつけていくという調べ学習。語学教育の時に作ったオーサリングツールがそのまま使えそうでした。
  3年生の担任の先生も大いにノリ気。「子供の声を入れたらおもしろいですよね。できますか?」と新たなる要望も飛び出した。声を入れられるようにしたものに、子供にも覚えてもらえるよう「きりはり教室」という名前をつけたそうです。それが現在の「きりはり教室」誕生の瞬間でした。

 

町の地図から子供達の声が飛び出してくるって、本当にマルチメディアだよね