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IntelligentPadの適用事例
IntelligentPad(略称:IP)を使って、実際にはどんなことができるのでしょうか。 ここでは実際に利用されている事例や進行中のプロジェクトの中からいくつか紹介しましょう。
1.教育
IntelligentPadは、さまざまな部品(パッド)を貼り合わせて行くだけで様々なマルチメディアドキュメントや道具を作り出していけるところから、教育現場における教材として活用されています。
具体的な事例としては、釧路工業高等専門学校の野口先生による理科の仮想実験やプログラミング実習への適用、東京学芸大学の任都栗先生による日本語教育用教材への適用、鎌倉小学校の立花先生による地域学習への適用などがあります。狙いは、先生の教材作りを容易にしたり、授業中でも組み替えて応用ができるいったことや、子供たちも授業の中で自ら利用することによって、学習効果を上げていくといったことが挙げられます。
更には、後ほど紹介するPiazzaを介して、学校内や学校外の先生や生徒と、教材や作品を交換し、また再編集することによって、よりよいものに仕上げていったり、交流を深めていくといった効果も期待できます。
2.マルチメディアデータベース
1997年度のマルチメディアコンテンツ振興協会の採択事業で開発された京都デジタルアーカイブ「THE MIYAKO」には、IntelligentPadが使われています。なぜ他のオーサリングソフトではなくIntelligentPadだったのでしょうか。それは将来的には利用者が書き込んだり自分が用意した
コンテンツを加えて公開できるようにしようと考えたからなのです。
この仕組みは各地の美術館、博物館、郷土館等が持っているコンテンツを公開したり、市民参加型で充実させていくのに役立つことでしょう。
「The MIYAKO」リーフレット:
KDA.pdf
3. Piazza
Webとは一体何なのでしょうか。それは出版という行為を誰もができるようにした画期的な仕組みなのです。そのためにわずかな年月で世界中に広まりました。でもそれだけで十分でしょうか。
実は出版という行為は一方的な発信でしかないのです。しかし実社会では、それに加えてコミュニケーションという双方向性を持った行為が、もっと大規模に行われており、その結果として様々なコミュニティが作られているのです。ネットワークでも、もっと判り易い形でのコミュニケーションができなくてよいのでしょうか。
Piazzaは、ネットワークという仮想空間上で双方向コミュニケーションを行うために、パッドで作った仕組みです。たとえて言うならば、ネットワーク上の広場です。そこではパッドで作った作品を配ったり、売り買いすることができます。また広場の中に小屋を建てて、特定グループの人だけが入れるクラブを作ることもできます。別な広場への道を作っても構いません。
こういった行為のほとんどが、さまざまな役割を持ったパッドをドロップするだけで実現するのです。
Piazzaリーフレット:piazza1.GIF
4.ライセンス管理
さまざまな作品が自由にかつ簡単にやりとりできるということは非常に良いことなのですが、2つ大きな問題があります。一つは、それは誰が作ったものなのかということが明示されているかということです。つまりオリジナルを産み出した人の著作権に関する情報が、きちんと埋め込まれて
いるかと言うことです。もう一つはオリジナルを産み出した人が、適正な対価を得られるようになっているかということです。
これらの問題に対して、単純なコンテンツ流通であれば、安全であることが保証されている器に入れて流通させるといった方法が実用化されていて、正当な権利者だけが、コンテンツを利用できるようになっています。しかしIntelligentPadではもう一歩進めて、パッド自体を安全な器にしてやることによって、パッドによる編集行為になんら制約や支障が生じないようにしています。これは何を意味しているのでしょうか。
パッドを組み合わせた(編集した)ものも、またパッドです(正確には合成パッドといいます)。ということはこれも保護の対象になるわけです。言い換えれば編集したという行為が保護できることになります。逆に編集物の一部のパッドを取り出して、別の編集物に利用したとしましょう。その取り出されたパッドに関する著作権情報はPadに付いており、どこまでいっても消えることはありません。もちろん別の編集物に仕立て上げた編集行為も、新たな保護対象となります。これらの情報は、コピーされても消えることがありませんので、むしろコピーを奨励しても構わないのです。もちろんたとえコピーされても対価が得られる仕組みも用意してあります。
このライセンス管理の仕組みについては、IntelligentPad Consortiumの技術委員会での検討結果をもとに、情報処理振興事業協会の1997年度の採択事業として開発を行い、1999年1月に完成しております。
以上の事例の詳細については、 「インテリジェントパッドの挑戦(日本経済新聞社刊)」を是非ともごらんください。
5. 地域コンテンツ編集システム「Hijiri」
99年度のIPCパッド開発プロジェクトで開発を行った地域のコンテンツ編集システムで、現在、編集の最後の追い込み作業を行っています。
Hijiriは時間と空間を軸に、地域文化のコンテンツを編集し、ネットワーク上で相互編集も行えるオーサリングツールです。地域コンテンツを取材・収集し、編集するプロセスを学習ととらえ、それをインターネット上で共有し、相互に変換、評価する場を作ることを教育システムとしての基本コンセプトとして開発しました。
システム構造には、日本文化に関するコンテンツを再編集・連想検索し、連続的にナビゲーションを行うマルチメディア・データベースとして評価の高い「京都デジタルアーカイブ」の構造と情報共有の場としてのPiazzaの環境を採用しました。
具体的にどのようなことができるのかを明示するため、システムの活用を想定し技術開発だけでなく、コンテンツ制作にも力を入れ、札幌市に関するコンテンツを題材として編集作成を行いました。
完成後は、子供達の地域学習等の教育や観光分野における活用を目指します。
Hijiriリーフレット1:Hijiri1.pdf
Hijiriリーフレット2:Hijiri2.pdf
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