野口「試行錯誤を繰り返しながら、未知なる可能性を秘めた全体にたどりつく。」
 
野口「複雑な思考回路やプログラムも、ひとつひとつの部分の組合せでできている。」




吉田:野口先生にこれからのIT社会について伺ったところ、カスタマイズという点を重視されていました。PCはますます速く、扱うデータはますます大量になっていくけれども、「自分がやっていることは自分でコントロールしたいと思う」と。
川原:先ほどの「IPを利用したデスクトップ環境」の話と似ている?
吉田:そうだね。データや思考回路をいかに上手く自分の環境に保存するかという問題については、現在のWindows環境では限界がある。それに比較して、IPならば直感的に作業して取り扱えるので、非常に有効ということだね。
川原:遊びの心がとても大切だ、ということも実感しました。無駄に見えるようなことでも、そこからいろんな方向に可能性が広がっていきますよね。
吉田:思いもよらぬ可能性を秘めたIPという意味では、末端の部品から全体を組み上げていくというIPの特徴にもあらわれているんじゃないかな。全体像を先に作り上げていく従来型のプログラミングでは、確実に構成した通りの物が出来上がるけれども、予定した最初の枠組み以上の物は出来ない。それにくらべてIPは、作る人間の想像を上回る物が出来上がる可能性があると思う。Padを組み合わせて編集する時間を増やすことによって、全体像が膨らんで可能性が広がるんじゃないかな。
川原:最後に、野口先生はもっとIPをたくさんの人に使ってもらいたいとも言っていました。「一人で作るよりも大勢の人間で作っていく方が必ず良いものが生まれるし、その結果を教材づくりに反映させたい」と。
吉田:プログラムに精通していない人であっても、さまざまなアイディアを簡単にアプリケーションとして表現できて、それをみんなで改良していくような教材ができたらすばらしいですね。
川原:教師がその地域ごとに教材をカスタマイズしたり、生徒も、「こういう授業だったらおもしろい」「こういう事をしたい」という意見を反映できるオリジナルの教材作りに参加したり、そんなこともできるようになるかもしれませんね。
 
野口「視野を広げて"IPという環境"を考えていきたい。きっとIPの有効性が理解されるはず。」