Topic #1 ------------------------------------------------------◇
・ 第9回 IPワークショップ開催(報告)
--------------------------------------------------------------◇
去る3月25日(月)に、IP ワークショップが恒例となっている横浜市内の神奈川中小企業センターにて開催されました。今年は記録的に早い桜前線の到来で、満開の桜の中での開催となりました。
9回目となる今回のワークショップは、昨年の「教育」から「社会教育」「地域コミュニティー」までテーマを拡大し、教育現場での実験報告も行われました。
以下に、「プロジェクト報告」「プレゼンテーション」「講演」「パネルディスカッション」の要旨を紹介します。
==プロジェクト報告==
Hijiri プロジェクト報告
小野澤 利昭氏 @(株)シーズ・ラボ
- 99年度から開発を進めている地域コンテンツ編集システム「Hijiri」のバージョンアップ版の報告があった。
- 前回の成果物から比較すると、コンテンツ編集・ 操作手順や機能などが、より使いやすく改善された。
- 今後の課題としては、簡単なマウス操作だけでコンテンツを作ることができる「部品」が、まだまだ必要であるが、更に使いやすい環境作りを行っていく。
- IPC総会にて完了報告を行い、IPCのWebページで公開しダウンロード可能とする予定でいる。
==プレゼンテーション==
ビジネスへの応用事例
「IP アーキテクチャーをベースとしたPlexWare/PlexServiceのご紹介」
曽谷 卓司氏 @K-Plex Inc
- 企業内のデータを加工するアプリ(Oracle等よりも軽い)として考えている。
- InterNetから随時入手したデータ(テキスト)を取込んでグラフ化することも可能。
- 現在は、社内システム等への導入実績を作るべく準備を進めている。今後は、VBでウィザード形式により簡単にオブジェクトを作れるようにしたいと考えている。
教育への応用事例(1)
「都市メタファを用いたユーザ操作支援環境」
野口 孝文氏 @釧路工業高等専門学校
- パッドのアイコン化を行うことで、一目でファイルの中身が分かるようにパッドを画面上で整理できる。
- パッドを年輪のように見せることによりファイル同士の関係が明確になる。
- アイコンパッドが画面いっぱいになった場合は、階層パッドを使用し離散的三次元(2.5次元)で多数のパッドを、数枚のシートの上に載せ、作業中のパッドが載ったシート以外を半透明にし、数枚のシート上にある数多くのパッドを管理することが可能。
教育への応用事例(2)
「きりはり教室」を使っての教材作成例
任都栗 新氏 @東京学芸大学
- 昨年は、小学生が使って社会科の教材を作成した様子を報告した。今年は、大学で学生による教材作成で実験を行った模様の報告があった。
- 中国からの留学生による「日本語教育の教材」としての応用事例の発表
- リオ国際大学での「南米における日本語教育」の教材としての応用事例の発表
教育への応用事例(3)
「デジタル算数セットの紹介」
田野 勝之氏・柳川 敏氏 @教育出版(株)
- 新学習要領に適合した小学生向けの指導用教材で、子供の自由な思考活動を支援するソフトである。
- 先生は、児童が何をやったか確認できる。ただし、確認・保存に手間がかかることが今後の課題。
教育への応用事例(4)
太田 剛氏 @(株)編集工学研究所
- 平成12年12月31日にスタートした「インターネット博覧会」の札幌市パビリオン「LALALA〜麺」にて、サブ・パビリオンを開設した。IPの技術を使った新しいコミュニティ「さっぽろIP
Memers」の実験を行い、ラーメンを題材としたカルタの募集を行ったところ興味深い作品の応募が多くあった。
- セキスイハイムと共同で家庭で使えるツールとして、ホームエディター「tayori(たより)」を開発した。家庭の冷蔵庫にメモを貼る感覚で使える家族のコミュニケーション・ツールをめざしている。
- STEP(Science Technology Educational Platform)を小中高で学習教材として使う実験がはじまった。膨大な量のコンテンツが必要で作成が大変だったが、ビジネスとしてかなりの手ごたえを感じた。
==講演==
テーマ:「IP の新しい展開」 田中 譲教授@北海道大学
- IPは、知識の再構築に使えるツールである。
- 「きりはり教室」は情報発信ツールで、「情報」を頭の中で編集することで「知識」となり、それを応用することで「知恵」となる。
==パネルディスカッション==
テーマ:「教育とインテリジェントパッド」
- 「ナビゲーション」が教育界のキーワードとなっている。
- バーチャルな実験だけではダメだが、内容によっては実験環境作りの時間を要しないIP上で多くの実験を行った場合の方が理解が深まるものもある。
- 子供たちは、まっさらなところからコンテンツ作成をすることはできない。「きりはり教室」のような下地となるものが必要。
- 先生も、PCを使った授業をしたいと考えている。教材を1から作るのではなく、ある程度出来上がっていて、先生がカスタマイズできる教材作りを支援するツールが必要。
- IPは、コンテンツが増殖する場合にこそ使い道が高い。
- PCはビジネスツールであり、次の理由から教育には適さない。
1. ディスクトップである
2.即起動しない
3.基本的に、1クリックで1ステップしか進まない このため、別のインタフェー
スも必要ではないか。
最後に、IPCの町田事務局長から「今後のIPCの活動方針」として、以下の提言がありました。
IntelligentPad Consortiumは、会員の皆様の活発な活動・支援により来年度で10年目を迎えることとなりました。今後もIntelligentPadのより一層の普及を目指して、皆様により参加しやすい方向で、来年度からは年会費を廃止し、当面は繰越金を資金として運営していきたいと考えております。正式には総会において会則の改定を行なうこととなりますが、今後も皆様のより一層のご支援をくださいますようお願い申し上げます。
今回のワークショップを総括してみると、プレゼンテーションで紹介されたように、IPには課題がまだまだあるものの、既に教育界では普及されている。
あとは、ビジネスへ繋がる糸口さえ見つかれば、 IPの普及も、そう遠くはないと実感できた。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
会場でアンケートに答えて下さった方々のコメントを、一部掲載いたします。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
第9回IntelligentPad ワークショップ
日程:平成14年3月25日(月)
場所:神奈川中小企業センター 14階多目的ホール
第9回IPワークショップ会場にて
1. IntelligentPad にはどのような可能性があると思いますか?
- データの単位、操作の単位の基準を決めたもの、標準仕様として不明なオブジェクト、XMLといったデータに対する外部操作⇔外部管理を可能にするツール。
- 知識をマルチメディアやプログラムの形で内在させることの可能なシュミレーション・ツール。
- 仕様を自分でコントロールできるので、コンポーネントの業績として流通が必要な応用にむく。
- 記述言語がC++でなくともよければ(よくなれば)、多人数参加型のコンポーネント業務にむく。
2. 今回のワークショップの感想をご自由にお書き下さい。
- ビジネスにつながるつながらないの話題が何回か出たが、IPを利用(使用)する場合に、買い手となる立場(事務方)の出席がない、買い手の意見もこの場で聞いてみたかった。
- 実践レベルでの話しが興味深かった。
- 学芸大の「任都栗先生」の話しが一番分かりやすかった。その一番の理由は、人間(子供)が中心にあり、K-Plexの方のようなカタカナが多用されるプレゼンではなかった点と、プレゼンの意図が明確であるためだと感じました。
- 初めて参加しましたが、世の中には面白い道具が色々あるんだなぁ、と思いました。
--IPワークショップの様子はこちらをご覧下さい--
|