野口 孝文(釧路工業高等専門学校)


--「IntelligentPadと付き合うことになったきっかけ」--

田中先生に初めてお会いしたのは、1982年の秋だったような気がします。 私の勤める釧路高専に前年度赴任した同僚が、研究会を地元(釧路市近郊の温 泉付研修施設)で行うというので、のこのこと付いていきそこで田中先生を 紹介していただきました。そして一度、先生の研究室を見学させていただき ましたが、10年近く先生にお会いすることがありませんでした

その間、平穏な日々を送ってました。ある日、本校の校長から、「まじめ に研究をしなければいけません」と言い渡され、どこか研修の受入先を捜す ことになりました。思い当たった受入先が、北海道大学の田中研究室です。 確か、先生のご専門はデータベースで、サーチエンジンやソートエンジンな どのハードウエアを作られていたはず。これには、大いに興味がありました。 しかし、私が文部省の内地研究員の制度で田中研究室にお世話になったのは、 1991年の5月から翌年の2月までです。残念ながら??その時には、研究内容は ソフトウエア中心になっていました。

1991年にはsmalltalkで作成したIntelligentPadが動作していました。 そのときの私の研究テーマは「IntelligentPadを用いた創造的学習支援システ ムの開発」です。私が研究室で使わせていただいたコンピュータは、 macintosh_II_fxで、開発言語のsmalltalkは、PPS版ver.2.5です。 IntelligentPadには、すでにいくつかのパッド部品が開発されていましたが、 これで創造的な学習支援をどうやって作ろうか、そもそも何が創造的なのか と悩みました。

私は、学生の卒業研究にIntelligentPadを使っています。初めて IntelligentPadについて説明する時には、すでにあるパッドを紹介してい ます。細かい原理はともく、比較的簡単に使い方を理解して、システムが 利用できるようになります。次に簡単なパッドを作ってもらいます。入力 した数値を2倍にして出力するような単純な機能を持ったパッドでも、学生 たちは、時計パッドやスライダーパッドと組み合わせて自分の合成パッドを 作りウインドウ上に並べています。

現在私は、日立ソフトが開発したC版のIntelligentPadを使ってパッド を開発しております。このシステムは、今までに開発されたIntelligentPad の中でも、処理速度や操作性に優れ大変使いやすいものです。ただ一つ改善 して欲しいことは、ウインドウが一つしか開かないことです。スナップショ ットでセーブしたパッドを再利用するためには、今使っているウインドウを 閉じなければなりません。

「創造的学習支援」を考え続けて、パッドを作成してきました。今では、 創造性は、個別のパッドで実現できるのではなく、ユーザが集めたさまざま な道具を、ユーザが自由に組み合わせたり編集したりできる環境によって 実現できると考えています。

1998年度からは、本校の教育用コンピュータが更新されるのに伴い、 授業の中でIntelligentPadを用いることを計画しています。ビデオ入力など いろいな入出力機器やmathematicaとの連携なども実現していることから、 学生は授業に興味を持ってくれると思います。

ちょっとしたきっかけから、IntelligentPadと関わることになりました。 私がこのシステムを手放さないのは、IntelligentPadが、道具として、使い 込み、使い続けることができるシステムだからです。    
97/8 掲載

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